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一枚絵で書いてm@ster 第6回提出作品「Terror」

トリスケリオンです 第6回一枚絵で書いてみm@ster作品です
今回の作品 プロット考えている段階で二通りのストーリーを考えて
そのうちの一つを書いてみました 一個はシリアスで一個はギャグ

今回はギャグの方です シリアスの方も日を改めて書いてみたいなと

 薄暗い倉庫の中で、雪歩は壁に無造作に立てかけてある古ぼけた鏡を見つけた。
 探し物はその鏡ではないので、雪歩としてはそんな鏡の存在など無視してさっさと目的の品物を見つけて、埃っぽい倉庫から出たい所であったが何故かその鏡に心を奪われていた。
 鏡は、雪歩の身長よりやや大きい程度の四角いスタンドミラーで、変わった形の飾り木枠がついていた。
 ずっと放置してあったらしく、鏡本体にも木枠にもうっすら埃が被っている。
「これ、舞台とかに使うものなのかな?」
 少し埃を吸って咳き込みながら、雪歩は手近にあった布で埃を拭き取る。
 新品同様綺麗に、とはさすがにいかないが汚れを拭きとっただけでそれなりに見栄えのするものにはなった。
 雪歩はその鏡の前に立ち、少し大胆なポーズ――雪歩にしてみればの話だが――をとってみる。
 鏡は……雪歩の姿を写していなかった。
「えっ?」
 鼻がもう少しでぶつかりそうになる位まで、雪歩は鏡に顔を近づける。
 だが、鏡は周りの風景を写しているのみで雪歩の姿は欠片も写らない。
「えっ、えっ」
 何か特殊な仕掛けがあるのか、それとも……と不安になり鏡を色々触ってみるが雪歩が写らないこと以外種も仕掛けもない鏡であった。
 雪歩の中に不安が広がる。
 そして、その不安に反応するかのように鏡に写るものがあった。
 雪歩ではない。鏡に写っているのは……
「い、犬っ!?」
 慌てて雪歩は自分の足元を見るが、そこには何もいない。鏡の中では、嬉しそうに雪歩に向かって尻尾を振っているというのに。
 実は誰かのドッキリ?それともそういう玩具?えっと、今日の晩御飯どうしようかなぁと雪歩の思考がだんだん明後日の方向にむき出す。
 現実逃避の段階に入りだした雪歩に向かい、今度は現実の方が雪歩に向かってきた。
 鏡の中の犬は、最初尻尾を振って吠えているようだったが鏡の中の音は聞こえないのか、そもそも映像のみで音声機能はついていないのかとぐちゃぐちゃになった雪歩の思考ではもはや論理的な結論を出すのは不可能だった。
 現実は、その雪歩の思考にとどめが刺すかのように『不可思議な現実』を突きつけてきた。
「ワンッ!」
 雪歩の鼓膜から脳に、犬の鳴き声が認識される。
 それと同時に、体が硬直しおそるおそるまず鏡を見てみる。
 鏡には……何も写っていなかった。雪歩の姿も、先ほどの犬の姿も。
 となると、今の犬の鳴き声は?という疑問が雪歩の中で持ち上がり、鏡に向けていた視線をそのまま自分の足元に向けた。
 神様、どうか自分の予想が当たりませんように……という雪歩の切なる願いもむなしく、雪歩が考えていた最悪の現実がそこにあった。
 茶色のむくむくな子犬が、尻尾を振りながら雪歩の足に擦り寄っていた。
 そう、鏡の中にいたあの子犬だ。
 自分が写らない……鏡から……犬が……。
 雪歩の思考回路はその瞬間一気にショートし、地面にへたり込むと同時に視界が真っ白になった。

 どれだけ気を失っていたのだろう。
 意識を取り戻した雪歩は、まだ半分はっきりしない思考を頭を振って無理矢理戻す。
 「確か……犬が……」
 はっ、と気を失う前の出来事を思い出して慌てて周囲を見渡す。
 幸いな点は一点。先ほどの犬の姿はどこにも見当たらなかった。
 不幸な点も一点。目の前の鏡は相変わらず雪歩の姿を写していなかった。
 つまり、先ほどの出来事が夢ではない可能性が高かった。
 雪歩は、地面にへたり込んだままのの姿勢で鏡の前からずりずりと逃れる。
 これ以上鏡の前にいたらまた――雪歩ととしては、考えたくもなかった。
 服が汚れるのを厭わず、雪歩は半分はいずるように倉庫から脱出に成功した。
 もっとも、脱出した後、しばらく腰が抜けた影響で歩けなかったのだが。

***

「あらあら~、こっちにいらっしゃい」
 珍しく事務所にまっすぐに来られたあずさは、事務所の近くをうろうろしている可愛い茶色のむくむくな毛の子犬を見つけた。
 犬好きなあずさとしては、放ってはおけないシチュエーションだ。
 犬の方も、人を警戒するという気はまったくないらしく、尻尾を振りながらあずさに近づき、何も抵抗することなくあずさの腕の中に納まった。
「いい子ねぇ~」
 犬の頭をあずさは優しく撫でてやる。
「あっ、可愛い~」
「あずさおねーちゃん、その犬どうしたのー?」
 そんなあずさを目ざとく見つけたのは、亜美真美の双子の姉妹だった。
「あら、亜美ちゃん、真美ちゃんおはよう」
 犬に向けていた笑顔を、あずさは亜美と真美に向ける。
「おはよう、あずさおねーちゃん。その犬どうしたの?」
「あずさおねーちゃんの犬?」
 矢継ぎ早な双子の質問に、あずさは「ちがうわよ」とのんびりと首を振って応える。
「でも首輪してるね」
「飼い犬かなぁ?」
 あずさの腕に抱かれた犬を、亜美真美が近づいて交互に頭や背中を撫でてやる。
「迷子の犬かもしれないわねぇ、どうしましょう」
 あずさは困ったような声を出すが、表情はあまり困ったようにみえない。
「それなら事務所で飼えばいいんじゃないかな?」
「亜美―、それナーイスアイディアだね」
「んー、プロデューサーさんや律子さんとかがだめ、っていいそうねぇ」
 今度は本当にちょっとだけ困ったような表情をあずさは浮かべる。
「後雪歩ちゃんがね」
 と、噂をすれば影というのはよくあることらしい。あずさ達をみて硬直する人影があった。
 今まさにあずさが噂にした雪歩その人だ。
「そ、その犬……」
 雪歩がいつも以上に硬直するのには理由があった。
 あずさが抱いている犬は、まさにあの時の、鏡の中の犬なのだ。
「あら、雪歩ちゃん、おはよう」
 あずさはもちろん、そんな雪歩の切羽詰った心の内など知らない。
「ゆきぴょん、ゆきぴょんの大好きな犬さんだよー」
「ゆきぴょん、この犬なら可愛いからゆきぴょんでも大丈夫だよっ」

kakimaster06-s.jpg


 こちらももちろん、何も知らないではやし立てる双子である。
「そ、そうじゃなくて……」
 犬が恐いというのもあるのだが、根本的な恐怖の原因をどう伝えていいか雪歩はわからない。
「雪歩ちゃん、この犬のことなんだけどね」
「あずささん、そ、その犬……」
 あずさと雪歩の言葉が重なると同時に、あずさに抱かれていた犬も反応した。
 あずさの腕から器用にするりと抜け出すと、まっしぐらに雪歩に向けて突進する。
「ひっ、ひぃぃぃ」
 雪歩もすぐに逃げ出そうとするが、犬の方があきらかに反応が早い。
 飛び出した勢いのまま雪歩を押し倒し、ペロペロと顔を舐め始めた。
 本日二度目となる雪歩の気絶は、5秒とかからなかった。


「そう、そんなことが」
 20分後、事務所の長椅子で目覚めた雪歩はあずさに倉庫での出来事を語っていた。
 一部始終をみていた雪歩でさえ、何が何だかわからない出来事なので説明するかどうか迷っていたが、誰かに話さないといられなかったのだ。
 ちなみに、犬の方はあずさが律子等を説得して、しばらくの間預かることになったらしい。
「信じてもらえないかも知れませんけど……」
 変な子に思われてるかなぁと、別な心配を雪歩はする。
「その話、本当かも知れないわね」
「えっ」
 自分で言い出したことだが、あまりにあっさり納得されて雪歩の方が驚く。
「社長から実は聞いたことがあるのよ」
「知ってるのか!」
「雷電!」
 いつの間にか、亜美と真美が来ていた。
「ええ、社長は骨董品を集めるのが好きで、昔不思議な鏡を買ったそうよ」
 亜美と真美のボケを簡単にあずさはスルーする。
「亜美達のネタがスルーされた」
「やるな、あずさおねーちゃん」
「それで、社長は何っていっていたんですか?」
 ずいっと、雪歩はあずさに顔を近づける。
「ゆきぴょんまで……」
「亜美、次は違うネタでリベンゾするよっ!」
 双子のわけのわからないやり取りなど、雪歩の耳には入っていないし、あずさのマイペースを崩せるわけがなかった。
「その鏡はね、その人が嫌いだと思うもの、恐いと思うものを写すといわれているわ」
「嫌いなもの、恐いもの……」
 まさにあずさの言うとおり、あの鏡から出てきたものは雪歩にとっては恐怖の対象であった。
「へぇ、何か面白そうだねぇ」
「真美達に恐いものなんてないよねぇ」
 あずさの言葉を聞いて、なにやら張り切りだす亜美と真美。
「亜美ちゃん、真美ちゃん。なんでいきなり張り切りだすの……?」
 その時、雪歩に嫌な予感が走る……!
「んっふっふー、亜美真美探検隊出動!」
「隊長はあずさおねーちゃんだね、ゆきぴょんはカメラさんね」
「えっ、ええええーっ」
 亜美真美のとんでもない提案に、雪歩は驚きの声をあげる。
「そうねぇ、一度確かめに行きましょうか」
「ええええええええええっ!」
 あっさりその提案が了承されたことに、さらに雪歩の驚きの声のボリュームがあがった。
「そうと決まったら、レッツアンド」
「ゴー!」
「あらあら、本当に亜美ちゃんも真美ちゃんも元気ねぇ」
「えっ、あの、あずさ、さん!?」
 雪歩の不幸は、とりあえず何も考えずに突き進む双海姉妹と、マイペースすぎるあずさがこの場にいたことであろう。
 抗議は無駄だとあきらめ、雪歩は流れで連衡されることになった。

「うう、これですぅ」
 色々諦めの心境で、雪歩は例の鏡に案内をした。
「んー、何かとくに面白そうなものじゃないよね」
「亜美―、こっちに変なおもちゃあるよー」
「えー、どんなのどんなの?」
「これも面白いー」
 とりあえず双子はあずさと別な意味でマイペースである。
「あらあら、転ばないように気をつけるのよ」
「あ、あの、鏡はいいんですか?」
 この現状を見るに、雪歩は一体ここになにをしに来たのだろうと今更な疑問に駆られる。
 一通り亜美真美が倉庫の探検に飽きた所で、例の鏡と対面ということになった。
「あ、真正面に立たない方が……」
 少し前の事があったので、雪歩はさすがに慎重である。
「んー、ただの鏡だよねぇ」
「きっと何かの呪文が必要なんだよ。えっと、リリカルトカレフ……とか」
「鏡の場合は、テクマクマヤコンよ、亜美ちゃん、真美ちゃん」
「へー、やっぱりあずさおねーちゃん何でも知ってるねー」
「テクマクマヤコン、いでよー、ミラーマーン!」
 雪歩以外は本当に暢気なものである。
「ほ、本当に危険なんですよっ」
 次また犬が出たらどうしよう、いやそれ以上に恐いものが出てはたまらないとという不安だらけの雪歩の気持ちは三人に通じる気配はまったくない。
「んー、でもゆきぴょんの恐いものは解るけど」
「あずさおねーちゃんって恐いものあるの?」
「亜美ちゃん、真美ちゃんは何かある?」
「亜美達はねぇー」
「0点のテストかなぁ~、この間もとっちゃったんだ。寝ちゃって」
「あらあらうふふ」
 まったく恐くないよね、それ、と思う雪歩の心の声もたとえ声に出してもスルーされるのはわかっているので心の中だけで突っ込む。
「と、とりあえず危ないからこの鏡は社長にいって……」
「そうねぇ、どうするかは社長に聞きましょうか」
 そういって何気なくあずさは一歩踏み出した。
 鏡の前に……
「あっ」
 雪歩が止めようとしたが、恐怖のために体が動かない。
 亜美と真美はもちろん、何がでるか楽しみといった表情で止めようとしない。
 あずさにいたっては、本当に何気なく一歩踏み出しただけなのでそもそも鏡の前に立ったという事実に気付いていない。
「あ、あずささん離れてくださいっ」
 雪歩のか細い叫びも遅く、鏡が雪歩の時のように反応した。
 鏡はあずさの姿を写すことなく、あずさの足元に現れたのは……
「あ、あれは……」
「あれって」
「体重計?」
 あずさの足元に現れたのは、最近発売されたばかりの高性能の体重計だった。
 あずさの体が、それをみた瞬間硬直していた。
「えっと、あずささん?」
 とりあえず、恐いものがでなくてよかったと安堵のため息をついた雪歩は、硬直したままのあずさに声をかける。
 あずさは、雪歩の声にまったく反応せずただ身体をぷるぷると震わせていた。
「あずさおねーちゃん、そういえば」
「ダイエ……」
 双子の声がした瞬間、あずさが反応するように振り返った。
 ……その瞬間、雪歩、亜美、真美は見てはいけないものをみてしまった。
「雪歩ちゃん、亜美ちゃん、真美ちゃん。この鏡は即壊しましょうね」
「「「は、はいっ!!」」」
 この世のものと思えない表情のあずさの迫力に、逆らえるものはこの場にいなかった。


 ……その日、亜美と真美は数年ぶりに布団に世界地図をつくるはめになり、雪歩は穴に篭ったまましばらく出てくることはなかった。



 亜美と真美、雪歩が次この鏡をみる機会があれば、そこに現れるのはきっと……

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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拝読いたしました

あれ、シリアス……とか思ったら全然そんなことが無く、随所に置かれた小ネタも面白かったです。ありがとうございました。

拝読致しました

ギャグと前置かれておりましたので、なるほどギャグかと読んでみたら…
…鏡に怖いものが映るとか、めちゃくちゃ怖いじゃないですか!!

ある意味ホラーでした。ええ、とても。面白いのに怖いといいますか、
シリアスブレイカーである亜美真美の役どころや台詞のタイミングも絶妙で、
こういうコメディタッチのものが書けない僕としてはとても新鮮なものでした。
とりあえずどこから突っ込んだらいいのか分からない位にネタが詰め込まれていて、
なんともwwwwwホントwwwwww楽しませて頂きましたwwwww

序盤の文体の硬さと後半のコメディタッチの部分が、びっくりする位にうまく接続されていて、
基本的にプロットの接続はなじむように作る僕としては、
トリスケさんの今回の絶妙な組み木のような接続がとても面白く感じられました。
体重計はね・・・ホント怖いですよね・・・年を経るにつれてとてもよく分かります、ええ。

素晴らしいSSをありがとうございました!

ありがとうございます

かるーあP
もともとシリアスルートも考えての出だしなのでその雰囲気が残っていたりしますw
亜美真美がでるとどうしても何かこう、いじりたくなるんですよねぇとw<小ネタ

小六さん>
最初の雰囲気と、後の雰囲気(さらにいうとこの後のシリアスルートはまた違う雰囲気で書く予定でした)での
ギャップがあると え、そう来たかって思ってくれればなぁと思うところはありますね

 現象としては、本当にありえないことなんですけど端からみたら滑稽といったり
亜美真美を絡めることで非日常を楽しめる雰囲気を作れるのってのがやはりキャラクターの個性
なんだなと書いていて思いました 他のキャラだとこうはいかないなぁと思うと
やっぱりキャラの個性は大切に書かないとなと実感したわけで

 文体に関しては雰囲気というより 雪歩ルートとあずさルートという意識で書いてみました
その後の亜美真美ルートはいずれ書く予定でいて それもまたキャラの位置づけに応じた雰囲気で
書いてみて それを違和感なく繋げていきたいというのは今後も大事にしていきたいですね
 色々なものを組み合わせて、一つのコース料理みたいに仕上げる そんな作品を目指したいですね


 ありがとうございました

鏡よ鏡。

あずさ、雪歩、亜美真美。
個人的に、文字で台詞を書くと偽者っぽくなるキャラの筆頭です。
あずささんや雪歩の語尾を伸ばすかどうか、亜美真美の誤用を入れるか入れないか。

その点で、トリPの作品は違和感無く読めるので、
書き手側の感想として「むぅ、やりおるわい」と思いました。

ストーリーは、よりによってあずささんに……という恐怖が。
春香あたりなら笑って済ませそうですけどね。
あと、あずささんが鏡の呪文を知っている、という点に違和感無くて(以下略)

No title

ガルシアP>
基本的に間違いやすいなと思うのは 雪歩とやよいかなと思っていたりします
「ですぅ」とか 小さい ぅ を使うのはとか云々とかそういうキャラらしさというのは色々
気をつけてますね 亜美真美に難しい単語使わせるときとか色々 キャラありきで書いてますしね
あずささんはのんびりしてるけど そんなにのびないと思うんですよ
その辺り評価していただければ 本当に光栄だなと思います


 なんというかあずささんってスタイルいいけど 結構肉つきやすいよねみたいなイメージがw
 千早との対比で考えると あずささんは千早みたら痩せてていいなぁと思ったりするんだろうなぁと
いろいろ妄想しましたw ……そしてあずささんは若いのにどうして、ねぇ(謎
プロフィール

トリスケリオンP&ふるぷら~んP

Author:トリスケリオンP&ふるぷら~んP
主にニコニコでアイマスMAD作成中
結構適当

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