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一枚絵で書いてみm@ser参加作品 「働き者と怠け者」 byトリスケ

はい、第4回一枚絵で書いてみm@ser参加作品です


今回とある童話を元にと思って書いたんですけど どうも元作品をあまり活かしきれなかった
なぁと…… 次やるときはもっと元作品を活かしたいなぁと

というか童話的な文章ってのもなかなか難しい
とあるところに、ヤヨイというそれはそれは働き物の娘がおりました。
 貧しい暮らしをしておりましたが、ヤヨイは文句一ついわずせっせと畑仕事をしたり、お裁縫をしたりと忙しい毎日を過ごしています。
 
 そんな働いてばかりのヤヨイですが、好きなことが一つありました。
 それは歌を歌うことです。
 ヤヨイの唄う歌はとっても元気が出ると友達にも評判で、ヤヨイもいつかはお城で行われる発表会で歌いたいなぁと思っています。
 だけど、貧乏なヤヨイはお城に着て行く服も何もないので、頑張って働くしかありませんでした。

 そんなヤヨイが日課の水汲みで近くの湖に行くと、美しい歌が聞こえてきます。
 その湖で歌っていたのは、歌がうまいと評判のチハヤという娘でした。
kakimaster04s.jpg

 ヤヨイは、水を汲む手を止めてしばらくの間千早の歌に聞き惚れます。
 一曲歌いったチハヤが、ぼーっとチハヤの歌を聞いていヤヨイに気付きました。
「あら、ヤヨイさん。仕事なんてしてないでこっちで一緒に歌いましょう」
 にっこりと笑ってチハヤがヤヨイに誘いかけます。
「ごめんなさい、チハヤさん。水汲み終わったら動物のお世話があるんです」
 誘われて嬉しかったヤヨイですが、手元の水桶に目を移してしょんぼりします。
「歌は楽しいわよ、ヤヨイさん。働いてばかりじゃつまらないわよ」
「でも、働かないと食べられないですから」
「歌っていれば大丈夫よ、そのうちお城で歌えるわ」
 チハヤは、そういってまた歌いだします。
 ヤヨイも、歌いたかったのですが我慢して仕事に戻りました。
 
 家に戻り、頼まれている動物のお世話をしているヤヨイに一人の女の子が手を振りながら近づいてきました。
「ヤヨイー、いつも物達達の面倒みてくれてありがとうな」
「あ、ヒビキさんー。おかえりなさいですー」
 出迎えたヤヨイを、ヒビキと呼ばれた女の子がぎゅっと抱きしめます。
「こらー、ヒビキっ!ヤヨイを離しなさいよっ!!」
 そんな二人に向かって、大きな声がしました。
「おー、イオリ。今日も眩しいな」
 ヤヨイを抱きしめたまま、ヒビキが声がした方をみます。
 そこには、綺麗な服を着た女の子が凄く怒った顔でヒビキを睨んでいました。
「あ、イオリちゃん。ご飯出来てるよ」
 ヤヨイも、そのイオリと呼ばれた女の子を向いてにっこり笑います。
「そ、そう。それじゃ……って、だからヒビキ!いい加減に離れなさいよっ」
 イオリは、もの凄い勢いでヤヨイとヒビキの方に突進すると、力任せにヒビキをヤヨイから引き離しました。
「なにするんだ、イオリ!」
「アンタ、ヤヨイとベタベタしすぎなのよ」
 ヒビキとイオリは、お凸がくっつきそうな程顔をつき合わせてにらみ合います。
「ヒビキさんも、イオリちゃんもケンカしちゃだめだよ~」
 慌ててヤヨイが二人の間に割って入ろうとします。
「ヤヨイは黙……」
「……らくていいわ」
 ヤヨイが少し泣きそうな顔になったので、慌ててヒビキとイオリは喧嘩をやめます。
 ただ、それでも御互いそっぽを向いて「つーん」としていましたけど。

「はい、もやしスープ出来上がりましたー」
 簡素な食卓に並べられた、豪華とはとてもいえないけどおいしそうな料理がたくさん並べられます。
「いっただきまーす」
 満面の笑みを浮かべながら、ヒビキが手にもったフォークとナイフをチンチンと鳴らします。
「ちょっと、アンタは少し遠慮しなさいよ」
 そういうイオリも、行儀よくしながらもヤヨイの作った料理を待ちきれないようです。
「たくさんあるから、どんどん食べてくださいねー」
 そのヤヨイの言葉を合図に、ヒビキは猛烈に、イオリはマナーを守りながら、ヤヨイの作ったもやしのフルコースをパクパクと食べ始めます。
「ヤヨイの料理はやっぱりおいしいなぁ」
 もやし寿司を口いっぱいに頬張って、ヒビキは満足そうです。
「食べながらしゃべるんじゃないわよ」
 イオリは、きちんとフォークとナイフでもやしステーキを切り分けながらも、それを口にいれるたびについ口元が緩んでしまいます。
「どんどん食べてくださいねー」
 そんな二人をみて、やよいもニコニコとしながら、二人にもやしサラダをたっぷりとよそってあげます。
「そういえばヤヨイ、また明日時間あるか?」
 もやしサラダといっしょに、もやしスパゲティを有名な泥棒さんのようにフォークで一気に巻き取りながらヒビキがヤヨイに尋ねます。
「はい、明日はお仕事終わった後なら大丈夫ですよー」
「なら、明日またダンス教えてあげるぞ」
 ヒビキは、一気にもやしスパゲティを飲み込むと、フォークとナイフを手に優雅に踊り始めます。
 ヒビキは街でダンスを教える先生で、お城の貴族にも教えたりもしてるのです。
「はいっ、ヒビキさんっ。いつもありがとうございますっ」
 ヤヨイも、ヒビキからいつも料理の代金の他に、時間がある時はダンスを教えてもらっています。
 ヒビキも、ヤヨイと一緒にダンスを踊れるのは嬉しいので、つい貴族に教えるよりいっぱいいっぱい教えてしまいます。
「ちょっと、ヒビキっ!食事中なんだから、埃立てないでよっ」
 イオリは、そんな楽しそうなヒビキを睨んだ後、思いついたようにもってきた鞄をあさり始めます。
「ヤヨイ、また服が余ったからもってきたわよ」
 そういってイオリが鞄から取り出したのは、とっても上質の絹を使った、それはそれは美しい服でした。
「イオリちゃん、そんないつも悪いよぉ」
 とても高そうな服なので、やよいは両手を前で振りながらフルフルと横に首を振ります。
「いいのよ、うちの仕立て屋がサイズ間違えちゃったのよ。無駄にしたくないし、ヤヨイならきっとサイズピッタリよ」
 イオリは、少しだけ顔を赤くしながらその服をヤヨイに渡します。
「何か、いっつも間違えてるよなぁ。イオリの所の仕立て屋さん」
 ヒビキがニヤニヤしながらイオリを見ます。
「しょうがないでしょ!間違えるものは間違えるんだから」
 ヒビキに言われて、横を向きながらイオリはさらに顔を赤くします。
「ヒビキさんも、イオリちゃんもいつもありがとうですー」
 ヤヨイの笑顔が、さらに太陽のように輝きます。
 ヒビキもイオリも、このヤヨイの笑顔には勝てないので、つられてにっこりと笑いました。

 そんな風に、ヤヨイは急がしけれど大好きな友達に囲まれて幸せに暮らしています。。
 そして毎日水汲みをする時は、湖でチハヤに出会います。
 チハヤは、相変わらず働きもせず歌ばかり歌っていました。
 そんなチハヤと一緒に、近所に住む歌が好きなハルカという娘も一緒に歌っていて、ヤヨイを誘いかけますが、やっぱり働かないといけないヤヨイは、チハヤとハルカに、働いた方がいいですよといいますが、まったく二人は聞こうともしませんでした。
 
 ある日、ヤヨイはたくさん作った野菜を売りに街まで出かけました。
 ヤヨイの作る野菜はおいしいくて、また元気よく歌いながら売るヤヨイが街でもやはり評判で、多くの人がヤヨイの野菜を買いに来たり、子供達がヤヨイの真似をして歌ったりと、街での人気者だったりします。
 そんな風にヤヨイが汗水たらしつつ野菜を売っていると、黒ずくめのちょっとだけ怪しいけど、何故か優しそうなおじさんが声をかけてきました。
「うむ、ティンと来た!君は歌が好きなのかね?」
「はいっ、大好きですっ」
 ヤヨイは、ちょっとだけ怪しいおじさん相手でも屈託のない笑顔で返事します。
「そうかね、とりあえずそのもやしを一つくれないかね」
「はいっ、ありがとうございます」
 ヤヨイは、丁寧にもやしを包むとおじさんに手渡します。
 おじさんはそのもやしを受け取って、そのまま少し食べました。
「うむ、このもやしもティンと来た!他の野菜ももらおうか」
 そういっておじさんは懐から金貨を取り出した後、何かを思い出したようにまた懐に手を入れ、一枚の羊皮紙を取り出しました。
「おいしい野菜といい歌の代金に、これを君にあげよう」
「はいっ、ありがとうございます」
 その羊皮紙がどんなものかヤヨイはわからなかったのですが、深々とヤヨイは頭を下げてきちんとお礼をします。
「うんうん、礼儀も正しいね。それじゃまた会おう」
 おじさんは、大量の野菜を抱えて去っていきました。

 その日の夜、イオリに夕食に招待されたヤヨイは、おじさんからもらった羊皮紙をイオリにみせました。
「これ、今度の歌姫楽園の招待状じゃない!」
 その羊皮紙の内容を見て、イオリはすごく驚きました。
「招待状、ですか?」
「今度お城でやる歌の発表会よ。しかもこれ本物だわ。ヤヨイ、これどうしたのよ」
「野菜を買ってくれたおじさんが、あげるっていってくれました」
 とくに驚きもしないヤヨイと、驚いた顔のままのイオリ。
「どういう事よ……。まぁ多分どっかのバカ貴族の気まぐれか何かね、これは」
 イオリは丁寧にその羊皮紙を丁寧にたたむと、ヤヨイに返します。
「それで、ヤヨイ。どうするのよ?」
「どうする、って?」
 ヤヨイは高級そうな肉を少しずつ食べながら、首をかしげます。
「あんたがこれもらったのよ。参加するんでしょもちろん」
「で、でもお城なんていったことないし……」
 ヤヨイは困ったような顔になります。
「それに、お城に着て行くお洋服もないよ」
「ああ、もう行きたいんでしょ!」
 ずいっと、イオリはヤヨイの顔に自分の顔を近づけてしっかり目を見ます。
「う、うん。お城で歌ってみたいかも……」
 イオリの気迫に半分押されて、ヤヨイは縦に首をふります。
「なら、イオリちゃんにすべて任せなさい!いい?ヤヨイ、アンタは歌うことだけ集中しなさい」
「うん……イオリちゃん、私、がんばるねっ」
 ヤヨイはイオリの手を取り、ぶんぶんと振ります。
 イオリは、「た、たいしたことじゃないわよ」といいつつずっと照れてばかりでした。

 お城の発表会に行くことが決まったヤヨイですが、もちろんそれに浮かれないで毎日精一杯働きます。
 発表会にはどうやら歌姫チハヤも参加するようで、毎日湖で歌の練習をしてるのをヤヨイは仕事をしながらその様子を見ています。
 チハヤの歌は毎日聞いていても素晴らしく、ヤヨイは自分の歌と比べてすこししょんぼりしてしまう時もありますが、イオリや、参加を知ったヒビキ、街の人達から「元気よく歌えばいいんだよ」と励まされ、頑張って練習をしました。
 そんなヤヨイに、ヒビキは歌に合うダンスを一生懸命教え、イオリはヤヨイを連れまわし、仕立て屋や装飾品屋を回ったりしました。
 その他の街の人達も、暇を見つけてヤヨイのお仕事を手伝ってあげたりして、少しでもヤヨイに歌の練習をさせてあげようと、みんな親切にしてくれました。
 ヤヨイは、嬉しくて涙がでてしまいましたが、みんなが「ヤヨイちゃんは、笑っててね」というので、泣きながら、嬉しくて、心の底から笑いました。

 発表会当日になりました。
 ヤヨイは、イオリが特別に仕立ててくれたドレスを着て、どきどきしながらお城の門をくぐります。
 そんなヤヨイが心配なので、よくお城に行くイオリも一緒です。
 お城の中は、見たこともないような綺麗な人や、立派な振る舞いの人がたくさんいて、ヤヨイはビクビクしてしまいますが、イオリがぎゅっと手を握ってくれたので、にっこり笑顔です。
 それに、ヤヨイの野菜をよく買ってくれる人も中にはいて、ヤヨイを見つけると、「がんばってね」と声をかけてくれます。
 そんな人達に囲まれて、ヤヨイの元気モードは100%になりました。

「これより、歌姫楽園を開催します。参加者の皆さん、楽しみにしていますよ」
 発表会の審査員の赤い衣装を纏った貴族が、高らかに開催を宣言します。
 それと同時に、騒がしかったみんなが一斉に静かになります。
「開催の前に、国王よりお言葉を頂戴いたします」
 赤い衣装の審査員が、うやうやしく頭を下げます。
 国王様は、みんなからは姿が見えないように特殊な布で隠されています。
「うぉっほん、本日はお日柄もよく……」
「王様、手短に」
 王様の隣にどうやら王女様がいるみたいで、注意されてしまいました。
「皆の歌、期待しているぞ」
 王様の挨拶が、手短に終わりました。

 発表会に参加する人は、誰も素晴らしい歌声の持主でした。
 中にはオンテイガコイと呼ばれる人もいましたが。
 素晴らしい歌が一曲終わるたび、会場から大きな拍手が沸き起こります。
 ヤヨイも、はしゃぎながら大きな拍手を送ります。
「みんな凄いねぇ」
「このイオリちゃんに比べたらまだまだよ。それにヤヨイと比べてもまだまだね」
 一応ヤヨイにだけ聞こえる位の声で、イオリはさりげなく(?)ヤヨイを褒めます。

 そして、人々の「おおっ」という声が一際大きくなりました。
 舞台に、湖の歌姫チハヤが現れたのです。
 飾りけのあまりない青いドレスを身に纏ったチハヤは、優雅に一礼するとゆっくり深呼吸をした後、人々を魅了する歌を紡ぎはじめました。
「泣くことならたやすいけれど……」
 歌が始まった瞬間、会場がしんと静まり返ります。
 少しの物音を立てただけで睨まれそうな雰囲気に、忙しく走り回っていた使用人の人達も立ち止まり、チハヤの歌に聞き惚れます。
 チハヤの歌を聞いている人の中には、あまりの素晴らしさに泣き出してしまう人も出ていて、鼻をすするのを精一杯我慢していました。
 ヤヨイもイオリも、ぽかんと口を開けてチハヤの歌に魅了されていました。
 チハヤの歌が終わった後も人々はしばらくそれに気付かなかったのですが、やっと国王様が気付いて「なんというティンと来る歌だ」と手を叩きます。
 それを合図に、会場の全ての人が今までと比べ物にならない位の拍手と歓声をチハヤに贈りました。
 チハヤはそれに応えるように、優雅に一礼するとゆっくりと舞台から降りました。

 その後に歌う人は、チハヤの歌があまりにも素晴らしすぎたので緊張してしまい。声が震えたり、歌を忘れてしまったりしてしまいます。
 ヤヨイももうすぐ出番なのに、緊張してしまい手も足もぶるぶる震えていました。
「ヤヨイ」
 そんな震える片方の手を、イオリはさらにぎゅっと握り締めます。
「イオリちゃん……」
「アンタはアンタが歌いたいように歌えばいいのよ。チハヤがなによ」
「そうだぞ、ヤヨイの元気な歌がみんな聞きたいんだぞ」
「えっ?」
 ヤヨイが声の方に振り向くと、そこにはヒビキがいました。
 ヒビキは、開いているヤヨイのもう片方の手をイオリと同じようにぎゅっと握ります。
「ヤヨイが怖がってたら、みんな怖がっちゃうんだぞ?みんなヤヨイから元気が欲しいんだからな」
「そうよ、ヤヨイ。ガツンとやってやりなさい!」
 普段仲の悪いイオリとヒビキですが、二人とも息があったように同時にヤヨイの背中をぽんっと押してあげます。
 よろっと前に出たヤヨイは、親指を立ててニカっと笑うヒビキと、腕を組み目を閉じて微笑むイオリに向かって元気に手を振ると、軽いステップで舞台に向かいました。

 舞台にヤヨイが飛び跳ねるように現れました。
 ヤヨイを知ってる人を中心に特に大きな歓声が沸き起こります。
 こんなにいっぱいの人の前で歌うのは初めてですが、元気120%のヤヨイは元気に「よろしくおねがいしまーす」と頭を下げます。
 そしてヤヨイは顔をきちんと上げた後、みんなに元気を与える、大きな声で歌い始めました。
 ヤヨイの歌は、チハヤのように綺麗な歌というわけではありません。
 でもヤヨイの歌は、みんなで楽しく、みんなで元気になろうという気持ちに溢れていました。
 歌にあわせてヤヨイは、くるくると妖精が踊るように軽快なダンスも披露します。
 じっと聞いていた人達も、一人が足踏みを始めてゆっくりと踊りだすと、我慢できないといった感じでみんなで踊りを始めてしまいます。
 イオリもヒビキも、手をとって踊っています。
 布の奥でよくわかりませんが、国王様と王妃様も踊っていますし、審査員の人達も激しく踊っています。
 そしてその中で少し戸惑っていたチハヤも、近くにいたヒビキとイオリに両脇を挟まれ、二人に釣られるように踊り始めました。
 とてもとても楽しそうに。

 すべての発表が終わりました。
 ヤヨイの歌で大騒ぎになった会場も落ち着きを取り戻して、発表会の結果発表を固唾をのんて待っています。
「この度の歌姫楽園の結果発表です」
 赤い服の審査員が国王様の方に向き直りました。
 それと同時に、国王様を隠していた布が取り払われます。
「あっ!?」
 ヤヨイが国王様の姿をみてびっくりします。
 そこにいたのは、ヤヨイの野菜を買ってくれて参加証をくれたあのおじさんでした。
「うぉっほん、今回もみな素晴らしい歌を聞かせてくれたね……」
 国王様は、咳払いをして一呼吸おきます。
 その場にいる全員が、国王様の次の言葉を待ちました。
 国王様は、ゆっくりと王座から立ち上がり歩き出すと……ヤヨイの前に来てヤヨイの手をとりました。
「今回の優勝者は……素晴らしい元気をくれたヤヨイ君。君だよ」
 国王様はヤヨイの手を取ってがっしり掴むと、もう片方の手で優しくヤヨイの頭を撫でました。
「あ、ありがとうございますっ」
 しどろもどろになりながらも、ヤヨイはいつものように、少し泣きながらですがきちんとおじぎをします。
 それと同時に、ヤヨイに向けて拍手とおめでとうの声が津波のように沸き起こりました。
 イオリとヒビキが抱き合いながら、ピョンピョンと跳ねて大喜びです。
 そんな二人を置いて、チハヤはゆっくりとヤヨイに近づきます。
「ヤヨイさん、おめでとう」
 チハヤは、そういってヤヨイに微笑みかけました。
「チハヤさん……ありがとうございます」
 手で涙を拭って、ヤヨイはチハヤにもおじぎをします。
「チハヤ君、君の歌も素晴らしかったがなぜヤヨイ君の歌を選んだわかるかね?」
 国王様がチハヤをじっと見つめ、話しかけます。
「はい、国王様」
 チハヤも国王様をじっと見返して力強く答えました。
「ヤヨイさんの歌は元気を皆に与えるという意味で素晴らしかったです。そして……ヤヨイさんの歌には皆さんとの絆を感じました」
「うむうむ」
 国王様が、チハヤの言葉に力強く頷きます。
「ヤヨイさんの衣装にも、ヤヨイさんのダンスにも、ヤヨイさんを思ってくれる人の気持ちが感じられました。そして、会場の人々の中にも……ヤヨイさんとの絆を感じさせられまた」
 チハヤは目を閉じて、胸に手をおきます。
「私は好きに歌うことばかり考えていて、人との絆をおろそかにしていました。ヤヨイさんはきちんと働きながら、一生懸命がんばっていたから……素晴らしい絆を乗せた歌を歌えました。それが理由です」
「チハヤさん……」
 ヤヨイは、チハヤの言葉に胸が詰まりました。
「うむ、チハヤ君。次の発表会に期待しているよ。君ならきっと出来る」
 満足そうに、国王様はうむうむと頷きました。
「はい、国王様。……ヤヨイさん、私も頑張るから……今度会う時は……」
「はいっ、私もチハヤさんに負けないようにもーっともっーっと頑張りますから、今度は一緒に歌いましょう!」

 チハヤがゆっくり手を差し出すと、ヤヨイががっしりとその手を握り、御互い笑っての握手になりました。

「うむうむ、仲良きことはうつくしきかな」
 国王様は、そんな二人をみて上機嫌に笑います。

「よーし、今度は自分も参加してヤヨイと一緒に歌うぞ!」
「アンタなんかがヤヨイと歌うなんて千年早いわよ。歌うのはこのイオリちゃんに決まってるでしょ」
 さっきまで抱き合って喜んでいたヒビキとイオリが、お凸をくっつけてにらみ合っていました。
 この二人も仲がいいのか悪いのかよくわかりませんが、ヤヨイが好きなことだけは確かなようです。

 会場はもうお祭り騒ぎで、ヤヨイはその元気パワーを抑える事ができず、大きな声で言いました。
「みんな、一緒に歌って踊りましょう!」

 その声を待っていたかのように、みんな一斉に歌い始めます。

 みんなみんな、その日は元気に夜まで歌って踊っていましたとさ。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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ヤヨイに幸あれ!

読んでいてやよいのニコ動のMAD PVを観ている時によく流れる「俺もうロリコンでいいや」って文字が右から左に何回も流れていきました(仁後真耶子さんの声も中毒性が高いです)。
ヤヨイが人気ありすぎで高木社……国王の地位が危なくなりそうで心配でした(やはり宮廷道化師はピヨなんでしょうか?)。
イオリ、ヒビキにつづいてチハヤが、ヤヨイにガバーッとする日が近いことが目に浮かびます。

また企画運営ご苦労様です。無理をしない範囲で頑張ってください!

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おおっと。

『アリとキリギリス』かと思ったら『シンデレラ』だった!
『グリム』かと思ったら『ディズニー』だった!
みたいな印象です。
鉄板。王道。ハッピーエンド。
みんな笑顔で歌とダンス。
実に一枚絵の雰囲気を活かしたストーリーテリングでございました。
ただ、オンテイガコイは不憫すぎる! まるで競走馬w

拝読致しました

 アイマスらしいおとぎ話といえばいいのでしょうか。
 とてもキラキラしていて、温かくて、人と人のつながりがそのまま綺麗な世界観を創りだしていて。もしおとぎ話の世界にアイマスの子がいたらこうなるんだろうなぁ…と素直に思ってしまいました。素敵です。
 やよいは本当にみんなから愛される子ですね、MSではありませんが、元気を上げて、元気をもらって、さらにその元気を返して、みんな笑顔!という感じ。やよいさんが主人公ならではの物語だったと思います。
 オンテイガコイについては色々と思うところが…いや冗談です聞き流して下さい春香さんは歌が上手いんですよ。のヮの
 素晴らしいSSをありがとうございました!

拝読させていただきました

読み終わってホッとできる作品でした。世界観がほのぼのしているからでしょうか。
やよいには童話的なほんわかワールドが良く似合いますね。
イオリとヒビキの掛け合いが、すごくいいキャラしていて大好きです。
王道らしい童話SSでした。ごちそうさまでした。

感想遅くなりました

月の輪P>やよいの可愛さって、外見の可愛さとかあの声もありますけど
やっぱりあの純粋さだと思うんですよねぇ 邪気がないからこそみんな素直に
接してるから 純粋にガバーっとできるというかww

ガルシアP>最初はアリとキリギリスそのままでいこうかなと思っていたら
どうしてもただの千早いじめにしかならなくて、色々混ぜてみたら何かあんな
展開になった次第ですw 基本的にハッピーエンドが好きな人間なので
みんなで笑える話をこれからも書いていきたいなぁと思ってたりします

小六さん>やよいの元気さって、ただの空っぽの元気さじゃなくて相手を思って
自分も相手も元気にって気持ちが前面に出てるからみんなに愛されてるんじゃ
ないかなといつも考察してます おとぎ話でも彼女達はきっと仲良しで
アイマスおとぎ話を色々書いて 子供達に聞かせてあげたいですね
……オンデイガコイ 誰も春香さんなんていってないのに・・w

寓話さん>やよいで悲劇的な話ってあまり思いつかないというか
悲劇的な話でもきっとやよいならなんとかしてくれるんじゃないかなと^^
イオリとヒビキも個人的な付き合いならそんなに争わない・・・いや争うかなw
プロフィール

トリスケリオンP&ふるぷら~んP

Author:トリスケリオンP&ふるぷら~んP
主にニコニコでアイマスMAD作成中
結構適当

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