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一枚絵で書いてみm@ster提出作品(ふるぷら~んP)/『雪の歌姫』

 えー ふるぷら~んです
 トリPの企画に乗ってみました
 拙い文章ですが……
 『雪の歌姫』

 その日、水瀬 伊織は……
「あーもう! なんだって言うのよっ!!」
荒れていた。
「伊織っ ちょっと落ち着いて…… うわっ!」
「わかってるわよ 相手が強かったのも ……あんたが音程さんを蹴っ飛ばしたのも」
「そ、そんなぁ~」
同じ765プロでユニットを組む天海 春香に持っていたウサギのぬいぐるみを放り投げると、今度は盛大にソファーに身を投げる。
(そりゃね わかってるわよ 春香は歌もダンスも上達してる ……足を引っ張ってるのはむしろ)
クッションに顔を埋め、今度は自己嫌悪の闇に身を投じる。
 765プロ所属のこの2人。デビュー以来人気はうなぎ登りであったのだが、ここ最近は深刻なスランプに陥っていた。
「伊織! 次頑張ればいいよ 次は勝てるよ!」
「そう その通りだ Go My Way! だね」
事務所のドアが開き、入ってきたのは事務所の主である高木社長であった。見かけ重厚に見える社長の椅子に腰掛ける。
「今まで駆け足で来たからね、少し立ち止まるのも悪くあるまい。……少しだけだがね。」
と、タバコに火を着けようとして思い止まる。近くで事務処理をしていた秋月 律子 の鋭い視線が突き刺さったからだ。
「そこでだ、ちょっと息抜きに温泉でも行ってこないかね?」
「「はい?」」
いつも表情のわからない社長の一声で、2人は同時に頭の上に?を浮かべた。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


 ロケバスは高速道路をひた走る。
「温泉♪ 温泉♪」
「楽しみねー 小鳥さん♪」
バスの中は概ね和やかな雰囲気に包まれていた。一人を除いて。
「お気楽ね……」
流れる景色を眺めては、吐息でガラスを曇らせる。
 【秘湯探検スペシャル!~歌姫伝説の秘湯を尋ねて~】
 2人と…… 付き添いの音無 小鳥 が向うのは東北の山奥の温泉宿。
(こんなことしてる場合なのかしら……)
ふぅ、と溜息がまたガラスを曇らせる。バスが進むにつれ、遠くに見える山々は雪を被り、窓の曇りは消えにくくなっていく。
「伊織っ! ……まだ気にしてるの?」
「あんたほどお気楽になれないだけよ。」
隣で揺れるリボンを見ずに、
「レッスンしてた方がマシだと思うんだけど……」
「そんなことないわよ? 伊織ちゃん」
はい、と冷凍みかんを手渡しながら、
「社長の気遣いよ ずっと全力でやってきたからね ……まぁそれでも仕事を絡めるあたりがあざといんだけど。」
苦笑いしながら小鳥が説明する。
「そう……」
みかんを受け取り、また溜息を吐く。2人は首を竦める。
 窓の外は雪景色。高速道路からも外れ、バスは目的地に近付いていった。

【ようこそ歌懸温泉へ】
 観光地定番の看板が一向を出迎え、バスは歴史ある佇まいの温泉宿に到着した。
「ん~~っ! 空気が冷たぁい!!」
「綺麗な景色ね~」
足元が雪なのも構わず跳ね回る2人を横目に、伊織は荷物を持ってさっさと宿に向う。と…… 温泉宿の裏にある山の中腹で視線が止る。
「あれ、何かしら」
「あぁ、あれは明日行く予定の歌懸神社ね。歌姫を祭ってるとからしいけど。」
歌姫…… ねぇ と、呟いて、じっとその神社を眺める。
「伊織ー! 小鳥さん早くっ!! 荷物置いたらスキー場のロケですよーっ! ……うひゃあっ!!」
駆け出した春香が雪で滑って転ぶところまで見届けて、スタッフとともに宿に入っていった。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


「本日の収録は終わりです。あとはごゆっくり寛いで下さいね。」
撮影スタッフが機材を撤収し始める。
 温泉宿の大広間。2人の前には豪華は御膳。さらにもう1つ運び込まれて……
「やっとゆっくり食べられるね♪ ……というか撮影されながら食べても味わかんないよ」
「じゃあ私もご馳走になろうかな♪ お腹空いちゃったわ」
浴衣姿の春香と小鳥がキャイキャイはしゃぎながら御膳の料理に取り掛かる。
「初めての温泉レポート、どうだった?」
「すっごく恥かしかったよぉ。水着で助かったけど……」
そんな会話を聞き流しながら、伊織は湯気の上がる料理を眺めていた。
「うふふ♪ 描写はカットさせて頂きました♪」
「だ、誰に言ってるの?」


 外は風が出てきたらしく、風の音が室内にまで聞こえてくる。
「料理ぁどげだがのぉ? お嬢さんがたぁ」
「すっごく美味しいですっ!」
宿の女将が料理の説明をしながら問いかける。
「この山菜は初めて食べるわ ……うん 美味しい。」
伊織の機嫌も良くなってきたらしく料理に舌鼓を打つ。
 と、びゅう!と大きく風が鳴った。そして……
「風の音……? なんだか……」
「どうしたの?」
山菜の漬物をポリポリしていた春香が、伊織の異変に気付く。
「風の音、なんだか歌みたいに聞こえる。」
「あぁそれがぁしたぁ。」
耳を澄ませて風の音を聴いている伊織に、宿の女将は方言丸出しの言葉で語りかけた。
「アイドルさん達来たげはって、歌懸さん喜んでったがもなぁ~」
「歌懸さん?」
女将が語りだしたのは、土地に伝わる伝説だった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 むかしむかし、この集落には大層歌の上手な娘が居った。
 山の中腹にある小さな畑で野良仕事をしているとき、娘はよく歌を歌っていた。
 山の神さまはその歌が大層好きで、彼女が歌っている間は危険な動物を寄せ付けず、木々で風を遮り…… 彼女が歌いやすくしてあげていた。

 とある神無月。山の神さまは出雲大社に出向くと、風を司る神さまに問いかけられた。
「お前はあの娘を贔屓にしているようだが、なんで私には歌を聴かせないのか。」
山の神が木々で風を遮るものだから、風の神は歌を聴く事ができなかった。
 だが山の神は彼女の歌を独り占めにしたかったのか、その問いをはぐらかし、ついには喧嘩になってしまった。

 山の神は帰ってからも彼女の為に気を配り…… もちろん、風の神はおもしろくない。

 その冬、風の神は山に大風を吹きつけた。その風は雪雲を呼び、見る見る間に山は雪に覆われてしまう。
 怒った山の神は大地を揺らして…… 雪は雪崩れとなってしまった。
 山の神も風の神も唖然としているうちに、雪崩れは麓の村をかすめ…… 娘の家まで呑み込んでしまった。

 山の神は大いに嘆き、風の神はいたたまれず……
 何が起こったかもわからずこの世を彷徨う彼女の魂を、山の神は呼び寄せ自分の代わりに山の神とし……
 風の神はその娘…… 新しい山の神の歌を風に乗せて麓の村に響かせた。

 元の山の神は天に帰り、新しい山の神となった娘を見守り
 風の神は歌う彼女の声を風に乗せ続ける……

 それが、この山から聴こえる風の歌。
 雪の降る風の夜には、山の神の歌が村に響き渡る……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ここが、歌懸神社…… ね」
撮影2日目。
 一面の銀世界の中に、ポツンと小さな社があった。昨夜、宿の女将に聞いた地元の言い伝えの社。
 春香と一緒に台本の通り神社にお参りする。
「伊織は何をお願いしたの?」
台本の通りの春香の問い。
「私は? 私は……」
台本には何も書いてなかった。自分の良いように、ということなのだろうが、何か言葉が出てこない。
 沈黙が続き、スタッフが焦りだす。と、一陣の風が雪を巻き上げる。
「きゃあ! な、何事?」
「うわぁ 伊織ぃ~」
いきなり視界が白く染まり、怯えた春香が抱き付いてくる。風の音で耳が痛い。どこからスタッフと小鳥の悲鳴が聴こえてくる。


 スタッフは騒然としていた。
 機材は一瞬にして雪をかぶり、防寒が十分でなかった者は寒さに震えている。
 2人の姿も見えなくなった吹雪の中で、小鳥は声を張り上げていた。
 2人の名前を交互に呼び続けていた。

 
 ガタガタと震える春香を抱きしめ、伊織は目を凝らして白い壁を見つめていた。
 何かが聴こえる。それは……
「歌……」
耳を澄ませば、風の音がいつしか、綺麗な旋律に聴こえてきた。美しく、儚く、優しく、哀しく、しかし心にしっかりと響く歌声が……
「綺麗な歌声…… 千早でも、こんな歌は歌えない……」
事務所の仲間で一番歌の上手な娘の顔が浮かび……
「え? 誰?」
いつしか伊織の目の前には、ぼやけた輪郭の…… おそらく、自分とそう年の変わらない少女の姿があった。
「何……? 何が言いたいの……?」
歌に混じって、彼女の声が聴こえてくる。ぼやけた姿が揺らめき…… そう、聴こえるような気がしていた。
そして影はふっと掻き消えた。消える前に…… 微笑んでいた ように伊織には見えた。


「伊織ちゃん! 春香ちゃん!!」
呼ぶ声で、伊織はゆっくりと目を開いた。
 いつの間にか吹雪きは過ぎ去り、伊織に抱きついたままの春香もやっと顔を上げた。
「どこも怪我とかしてない? 痛いところない? 寒くない?」
心配そうな小鳥の声に我に帰る。
「大丈夫よ ……春香もね。」
「うん……」
あんたの方が年上の癖にだらしないわねっ! と相棒を一喝し、一転晴れ渡った空を見上げる。
「私、そんなに落ち込んでたかな」
「え? 何?」
頭の上に積もった雪を、頭を振って払い落としながら答える春香を無視し、伊織は一人、雪の中に見えた少女のことを思い出し、天に問う。
「そうね 悩んで下向いてる暇があるなら前に進む!」
「はへ!?」
いきなり天に向って吼え出した伊織の顔を、春香はきょとんと眺めている。
「あんたの分まで私が歌ってあげるわっ 安心しなさいっ! にひひ♪」

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・


kakimaster02-ss.jpg


「伊織っ! 歌姫さまできたよー」
最終日の朝、宿の庭には……
「……は?」
雪だるまがあった。
「歌姫さま。」
「…………」
雪だるまの上には、ステージで使うティアラが。
「どこがどう見れば歌姫なのよっ! いいとこジャックフロストの女王じゃないの!!」
「だって…… これ、可愛くない?」
「可愛くなくはないけど……」
と、朝日が差し込む庭に、チラチラと雪が舞い降りてきた。それはキラキラと雪だるまの周りで輝いている。
「ほら、歌姫の神さまも喜んでくれてるんじゃない?」
納得できない伊織の前で、春香は手放しで喜んでいる。
「ま、いいか。」
よく見れば愛嬌のあるその雪だるまときらめく粉雪に目を細めて、伊織はスタッフの待つバスへ足を向けた。

 バスは一路東京へ…… 
 またステージが待っている。しかしあの時見た少女の微笑みは、前に進む勇気を与えてくれた。
「また、頑張ろうねっ!」
そして頼もしい…… とは言いがたいが、仲間も居る。
「えぇ ビシバシ勝ち上がるわよっ!!」
一陣の風がバスを揺らして吹き抜けた。その風の音に耳を傾け…… 自分の最高の笑顔で仲間に答えた。
 まだ遠きトップアイドルへの道を駆け上がる為に。
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 というわけで企画のSSでした
 ……ここ2年、動画用にしか文章起こさなかったもんだからもうgdgdもいいところじゃないかと
(動画だと会話だけ書いてればなんとかなるしね)
 つかこないだの冬コミでトリPと一緒に本出したのの寄稿SSもまぁ……
 ぐああぁっ!!

 ……ふるぷら~んでした。





テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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非公開コメント

読ませていただきました!

正統的なSSですね。土地神様とのふれ合いが幻想的でもあり、日本人的なDNAを刺激する構成で引き込まれました。
てっきり神から授かった特別な何かで、伊織達の快進撃が始まるのかと思ったのですけど、ここはやはり実力で勝負するのでしょうね!!

No title

>>月の輪P
 感想さんくすですわー
 日本の神さまって、なんとなく直接手助けしてくれんイメージがあってね
 まぁ神頼みは神頼みとして、アイドルは自力で上に上がっていかんとね という感じでした
 伊織の機嫌が直った ということで(アイマス的にはテンションゲージが1本埋まったみたいなところで一つ)

 ちなみに、歌懸神社 ってのは住んでる町にある神社なんですわ
 歌懸稲荷神社 だけどね
http://5.pro.tok2.com/~tetsuyosie/yamagata/yamagatasi/utakakeinari/utakakeinari.html
 お話には名前だけ借りただけだけど

 いやはは 感想頂けるとテレますなこれ
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トリスケリオンP&ふるぷら~んP

Author:トリスケリオンP&ふるぷら~んP
主にニコニコでアイマスMAD作成中
結構適当

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