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一時間SS/エンドレスムービー

一時間SSっす なんか今回いつも以上にとりとめないなぁと

もっと瞬発力を鍛えろ、俺
人生は映画の様だ
 一つ一つの出会いが、一つのコマとして残り、それをいくつも繋げてその人しか作れない至高の作品となる
 だが、映画作品と違うのは……
 いつでも、その作品が思い描くように綺麗ではないことであろうか
 そして……

 「……プロデューサー」
 目の前で、うつむきつつも涙を流すのを堪える少女が居た。
 「悪いな……俺の力不足だ。すまん、雪歩」
 「いいえっ、プロデューサーは悪くありませんっ!」
 半分涙目のまま精一杯の大声をあげる、俺の大事なアイドル、萩原雪歩。
 俺は、その大事なアイドルである雪歩に残酷な現実をつきつけたばかりだ。
 大事なオーディションを落とし、人気が頭打ちになってしまった。
 雪歩はひたすら自分を責めるが、最大の責任は俺の指導力不足なのは明らかだった。
 折角の素材を活かせない、自分に嫌気がさす。
 彼女は、もっともっと輝ける世界にいけるはずなのに……
 あの失敗がなければ……
 あの時、ちょっと言葉をかけてやれば……

 人生は編集ができない
 人生のNGシーンを取り直しできれば、どれだけ人はいい映画を撮れるだろうか?
 気に入らない部分だけを切り取って、いいシーンだけをつなげればどれだけ綺麗な作品になるだろうか?
 そんな事は、人生の映画において許されることではない

 「社長からも、直々にいわれると思うが活動停止は決定事項になる」
 その事を告げた時の雪歩の表情を見るたびに、俺の心が鈍い刃物でずたずたに引き裂かれる。
 雪歩の方がよっぽど辛いはずのに、俺は自分を襲う痛みから逃げたいという気持ちにだけ囚われる。
 雪歩を苦しめたのは俺なのに、俺は雪歩を苦しめたまま逃げ出そうとしてる。
 「そう、ですよね……私はやっぱりアイドルなんか……」
 膝の上におかれた雪歩の小さく綺麗な手がぎっと握られ、その手に涙が落ちた。
 違う!違う!雪歩は悪くなんてないんだ!! 
「それ以上いわないでくれっ!!」
 俺の剣幕に、恐怖の表情を浮かべ雪歩がのけぞる。
 ……何をやってるんだよ、俺は
「……すまない、雪歩」
 自分の感情を抑えきれずに、雪歩を傷つけるなんて最低だぞ、俺。
「いえ、大丈夫です……。ても、せっかくプロデューサーにここまで連れてきてもらったのに」
「逆なんだよ、雪歩。俺がここまでこれたのは雪歩のおかげなんだ」
 俺も雪歩も、御互いの目をじっとみる。
 御互いの視線に嘘偽りはまったくない。だから、視線は逸らせない。

 映画でも苦しいシーンはある。
 悲しいシーンもある。
 だが、それは素晴らしい最後を飾りたてるための演出だ。 
 人生は……素晴らしい最後がくるかわからない
 ただ悲しいだけ、ただ苦しいだけで終わるかもしれない……
 でも……

「雪歩、今までありがとう」
 俺は、頭を下げることで目線を逸らした。
 これ以上、雪歩の純粋な目を見ることに耐えられないのだ。
「プロデューサー……これでお別れですか?」
 表情は見えないが、雪歩の声が震えていて今でも大泣きしそうなのはわかる。 
「ああ、俺は雪歩を導けなかった……だから、な」
 俺は泣かなかった。泣く権利なんてこれっぽちもないからだ。
「プロデューサー……うそつきですよね」
「えっ」
 雪歩の声が、はっきりとしていた。
 その声にはっとして顔を上げると、そこには到底似合わない、怒りの表情をあらわにした雪歩がいた。
「私、思い出しました……私、さっきまで自分がアイドルなんてやらなきゃよかったなんて思ってました……」
「雪歩、それは……」
 どうしたんだ、一体。
 さっきまで泣きそうだった弱虫の娘が突然、毅然とした一人の少女になっていた。
 弱いからしたら、眩しい位の輝きを放っている。
「でも、諦めるな。最後に輝けるのは諦めない人間だけだっていってくれたのはプロデューサーですよ」
「だけど、雪歩」
 そうだ、そんな偉そうな事をいったんだな……その時の俺はどの口でそんな偉そうな事をいえたんだろうな……その時の事もNGにできりゃどれだけ楽なことやら。
「弱い私だったのを、ここまで強くしてくれたのはプロデューサーです」
 雪歩の、白く柔らかい手が俺の頬に触れた。
 少し冷たい手だが、柔らかく触れるその感触がとても心地よい。
「さっきまで本当に自分を嫌いになってたのに、プロデューサーの言葉が、あの言葉があったから私は今穴を掘らないですんでるんですよ?」
 雪歩が微笑んでくれた。こんな俺の前で……
「俺が今穴を掘って埋まりたい気分だよ」
 恥ずかしくてな……雪歩のその笑顔が綺麗すぎて直視できないなんてことはとてもいえないことだった。
「だから、今度は私がプロデューサを穴から出す番です」
「雪歩……」
 言葉の力強さを感じて、俺の心に何かが沸き起こる。
「引退まで、私最後まで頑張ります。そして、一度引退してもまた戻ってきて来ます」
「……正直、厳しいぞ」
 そうは言うが、この雪歩の決意を揺るがすことはないだろう。
 俺は誇っていいのか……この子をプロデュースできたことを
 こんな強い子に育てあげたことを……
「だから、その時はまたプロデュースをお願いします」

 人生の映画は最後までハッピーエンドになるかわからない
 でも、人生の映画はどんなに苦しくても、どんなに悲しくても
 自分が終わらせなかったら、映画は完結しない
 気に入らないなら、どこまでも続ければいい
 そして、ハッピーエンドになっても
 ずっとその作品は続くのだから……

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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非公開コメント

No title

読みました。
映画というお題の難しさといいますか、手をつける範囲の多さにちょっと戸惑ってしまった印象が見受けられました。
筋としてはおおむね、雪歩の再びの前進という普遍的なテーマを丁寧に扱っていて良かったです。
雪歩はなんだかんだで強い子ですもんね。
企画参加、ありがとうございました

No title

一時間ssお疲れ様です。拝読いたしました。

人生という現実的で三次元なものを、映画という非現実の二次元で例えるところがおお!と魅せられました。
弱気な感情から芯のある怒りの感情へ、さらにPへ微笑みかける雪歩の一連の感情表現もスムーズだと感じました。
シリアスをただただ暗い雰囲気で終わらせるのではなく、物語を続ける選択肢をえらぶことによってハッピーエンドにすることができる。
この点は映画にはない人生の良いところなのでは、と考えさせられました。

良いP×雪歩ssごちそうさまです!

No title

1時間SSおつかれさまです、拝読させてもらいました。
一緒にやってきたことで強さを手に入れた雪歩、それに対して雪歩の成長に戸惑ってしまうPの関係性が良かったですね。2人が作ってきた、そして作っていくこれからのストーリーというのに胸打たれました!
映画というテーマでこういうアプローチもあるのだなと勉強させられました。
良い作品をありがとうございました^^

No title

拝読させて頂きました。
映画というテーマから、編集というサブテーマを思い付く、ニコマスPらしいテーマ解釈だと思いました。編集という切り貼りできるものを人生とクロスさせたメッセージ性の強いSS、トリスケさんのSSはテーマがしっかりと確立されていて、真摯な気持ちで見習いたいです。本当に。
雪歩とP、それぞれの弱い面と強い面を描写し、お互いが励ましあって前進していく。まさに人生という映画のダイジェストの一部を切り取った作品だと思います。
すばらしいSSをありがとうございました!

No title

1時間SSお疲れ様でした。
「人生は編集が出来ない」という言葉に重みがありますね。
全体として、雪歩の芯の強さが表されたいいSSだと思いました。
この雪歩とPが、また新たな一歩を踏み出して、新しい「シーン」の撮影に漕ぎつけてくれるといいなぁ、と思います。
ステキなSSありがとうございました。

No title

島原薫 さん>今回の反省点として書いてて
何か色々な要素をいれてみたいと欲張りすぎて
本当にまとまりのなさを露呈させすぎたのが
本当に反省点です……
雪歩って、本当に強い子なはずなんだけど
なかなかそれが表面にでない子なので
いずれその辺り追求したいなと思ってます

ふじゃん さん>基本的に映画ってのは
本当に現実的に見えて現実ではないんだなと
いつも思っています
雪歩も、目立たないけど案外喜怒哀楽は
激しいんじゃないかなと思う次第で^^
基本的にどこか話しにはハッピーエンドを
求める人間なので今回はこんな結末に
やっぱりいつかはみんな幸せでいたいですよね

coroさん>雪歩って本当にすっごく大きく
成長するタイプだから実際予想以上に強くなったらpは戸惑うんじゃないかなと^^ 
映画との比喩は、思い出をありがとうから
で思いつきました

小六さん>映画って本当に結局の所ご都合主義なんだよなぁと
思いつつ今回は書いてみました
実際アイドルやっててもうまくいかない事が多いんだろうけど、
それを乗りこえられるってのは本当に
信頼関係あってこそなんだと思います Pとアイドルの関係って
そこが一番綺麗なのかなと

ピヨ談さん>実際ゲームでやってると
いくらでもリセットは聞きますけど、実際アイドル
の世界ってのは本当に一つの失敗が引退に
直結する可能性もある厳しい世界だと思います
それを弱い雪歩ならくじけるけど、Pに育てて
もらつた雪歩ならきっと……と思います





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トリスケリオンP&ふるぷら~んP

Author:トリスケリオンP&ふるぷら~んP
主にニコニコでアイマスMAD作成中
結構適当

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