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SS 「形あるもの/無いもの」 

 SS 今回は練習のために書いてみました
 ちととある場所で色々説教食らって^^ 色々見直す所が多いなと思ってあらためて
 やってみました

 今回は 「会話分無し」 でやっています
 テーマは 「グラス」 です

 今後もいろんな課題に取り組んでやってみたいなと……

 
 
 形あるものはいつか壊れる。
 当たり前の話ではあるが、形の無い物も時として壊れる物である。
 
 一個のグラスがあった。
 特に変哲もない、どこにでも売っているような透明なグラスで、それ以上でもそれ以下でもない。
 だが、そんなグラス一個でも、時として騒動を引き起こす一端にはなりえる。

 喧騒の絶えない765プロ。
 相変わらずの人手不足の為、アイドル稼業より事務仕事が増える事に辟易しながらも、秋月律子はPCに向かってたちどころに案件を処理していく。
 カタカタとキーを打つ音だけが、事務所に響いている……
 という環境なら律子として最高の環境なのだが、現実はそれを許さない。
 双子のトラブルメーカー、双海亜美と真美が事務所を所狭しと走り回り、それを捕まえようとする水瀬伊織の怒声が、事務所の効果音をたちどころに占拠する。
 何かまたトラブルがあったのだろうと、律子は平然と受け流した。
 本来なら、真っ先に止めるのは律子の役割なのだが、あいにくその程度のトラブルに構っていられる程律子は暇ではなかった。
 書類の山を少しずつ崩しながら、たまにキーボードを打つ手を止めて傍らにあるグラスに手を伸ばす。
 伊織が推奨する限定品のオレンジジュースで、軽く喉を潤し再びディスプレイに向き直る律子。
 双子と伊織の喧騒交響曲は終わる気配をまったく見せないが、仕事に集中しだした律子の耳には、防音壁があるかのようにまったく入らなくなっていた。
 もっとも、そのせいで交響曲の演奏場所が徐々に近づいてきてる事に全く律子は気付かなかった。
 再び喉を潤そうとグラスを手にした瞬間、何かが勢いよくぶつかってきて律子は手に取ったグラスを床に落とした。
 グラスが割れる音と同時に、何かが床に倒れる音か重なる。
 驚いて律子は、床に目を向けるとそこには砕け散ったグラスの破片と、倒れこむ伊織の姿があった。
 倒れている伊織の腕の辺りからは、細く血の川が流れている。
 一瞬血の気の引いた律子だが、すばやく理性を回復させ、手早く救急箱セットを手に取る。
 幸い、軽く切っただけらしく、消毒と軟膏、そしてカットバンで治療を済ませる。
 治療を受けている間、伊織はずっと双子を睨みつけていた。
 無言の圧力に、さすがの双子もしょげかえる。
 だが、それも一瞬で今度は双子同士の言い争いになった。
 いきなりの口喧嘩の理由は、伊織が怪我をしたのはそっちの責任だ!と、様は責任の擦り付けあいでしかなかった。
 その態度に一瞬冷めかけていた伊織も煽られ、ずかずかと双子に近づき二人に罵声を浴びせかける。
 伊織を巻き込んだ三つ巴の戦いを見て、あきれた様な溜息をつく律子。
 あきれた表情のまま、今度は拳を固めて息を吐きかける。
 言い争いに夢中の三人は、大股で近づいてくる律子など気にも留めない。
 実りのない討論をしていた三人に、制裁の拳が飛んだ。
 突然の痛みに、頭を抱えうずくまる三人。
 数秒後、痛みで真っ白になった視界が戻った三人は、事務所に鬼がいることを知った。
 鬼は、一睨みして三人の心を恐怖で鷲づかみにする。
 何故かは知らないが、そうしなくてはいけないという衝動に駆られ三人はほぼ同時に、床に正座をして頭を垂れた。
 床に並んだ罪人に、鬼は説教という言う名の稲妻で罪人を打ち、それでも互いの責任を認めようとしない罪人を、棍棒の代わりに拳で裁いた。
 鬼の裁きの結果、三人は床掃除を命じられしぶしぶといった表情で取り掛かる。
 三人は互いに顔をあわせようともせず、黙々とただ作業だけを続ける。
 作業が終わった後、三人同時に目が合うが、ぷいっと目をそむけた。
 ほぼ同じような態度を取る三人を見て、律子は苦笑するしかなかった。
 
 その日以来、三人の仲はこじれて傍目から見て修復不能なまでに壊れていた。
 グラスのように砕けた、信頼や友情という関係。
 亜美と真美は、互いに悪い方向で競い合い、互いを出し抜こうとする。
 そんな二人を伊織は毒舌と共にあざ笑い、それに双子が互いに反論し、一瞬双子の繋がりが復活するが、すぐにまた互いにその繋がりを切断する。
 事務員の音無小鳥が、ただひたすら宥めようとしたりするが、律子はそんなやり取りを事務処理の合間に一瞥するだけで、心を動かなかった。
 律子は知っているからだ。
 形が無い信頼や友情、愛等といった物も確かに壊れる。
 だが、砕けたグラスでも今の技術なら再処理され新たな形で再生もできる様に……
 信頼が友情も、たとえ砕けようが燃え尽きようが、それが本物であるならば新たな形で蘇る、と。
 破壊と再生なんてありきたりね、と律子は思いながらも、そのありきたりがいいのかなと自分の中で補足した。

 数日後、事務所に新曲となる騒動三重奏が響きだした時、律子は、再生なんてしないほうがいいのかしらと頭を痛めることになる。

テーマ : アイドルマスター
ジャンル : ゲーム

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